バッティング 上から叩けという指導は間違い!?
バッティングの指導で「上から叩け」という指導は一度は耳にしたことはあると思います。
昔から日本では野球のバッティング指導では上から叩くスイング、ダウンスイングを指導する指導者が多く、上から叩くスイングが正しい、理想のスイングだと思っている人は多いです。
しかし、近年上から叩くスイング、ダウンスイングは間違ったスイングの形であるという声が増え、徐々に上から叩くスイングを指導する指導者も減ってきた印象です。
では一体上から叩くダウンスイングは何がいけないのか?
そもそも本当に上から叩くダウンスイングは間違いなのか?
そこで今回はバッティングでの上から叩くダウンスイングについて間違いなのかどうかなどを紹介していきたいと思います。
上から叩くスイングは間違いなのか?
いきなり本題に入りますが、上から叩くダウンスイングは間違いなのかどうか。
これに関して私の考えとしては間違いではないと思います。
ただし正しいとも言えないというもまた事実だと思っています。
正確に言えば
ダウンスイングの正しい理解と、その指導方法が重要
私はこのように思っています。
つまりダウンスイングや上から叩くスイング自体が悪いわけではなく、そのスイングをする意味や目的、どんなメリットがあるかをしっかりと理解したうえで正しい形を身につければ問題はないと私は思っています。
ですので
ダウンスイングや上から叩くスイング自体は問題はない
上から叩けと言うだけの指導は間違い
これが上から叩くダウンスイングが間違いかどうかに関する私の答えです。
上から叩けという指導の意味
上から叩けという指導には一体どんな意味があるのか。
この指導が間違っていると言われることがあるとはいえ、どの指導者も選手がより上達してほしいと思っていることは変わりないです。
ただその指導の仕方によって伝えたいことが上手く選手に伝わらず結果的に上達しないということがあります。
その代表的なものが今回の上から叩けという指導だと思います。
なので先ほども言いましたが上から叩けという指導ではなく
なぜ上から叩くのか
上から叩くスイングよってどんなメリットがあるのか
これをちゃんと教えてあげることが大切です。
では上から叩くという指導の意味を解説します。
無駄な動きを省く
おそらくこれが上から叩くという指導の最も重要な部分になります。
上から叩くという指導と同時によく使われる言葉がバットを最短距離で出せという指導です。
これは簡単に言ってしまえばボールとバットをしっかりと当たるようにするために、より無駄な動きを省き、最短でバットを出すという意味です。
そして構えの段階でバットをおそらく多くの選手は耳の後ろですのでその位置から最短でバットを出すとなると必然的に上から叩くスイングになるというわけです。
まずはここまでしっかりと教えることが大切です。
ただ上から叩けば良いわけではない
次にただ上から叩けば良いわけではないこともしっかりと教えることが大切です。
特に小学生や、野球を始めたばかりの選手を教えると、良くも悪くも教えたことをそのまま理解しようとしてしまいます。
私も実際に何人こういう選手を見てきましたが上から叩けと言われて、文字通り上から叩きつけるようなスイングをしてしまう選手も多いです。
ただ単純に上からバットを叩くように打ってもそれは無駄な動きを省けてているどころか、そのスイング自体が無駄な動きになってしまいます。
上から叩くというのはあくまで最短距離でバットを出すという意識を伝える指導の表現の1つであり、ただ上から叩けば良いわけではないです。
そのあたりもしっかりと教えてあげることが大切になります。
上から叩くスイングは間違いと言われる理由
ここからはなぜ上から叩くスイングが間違いと言われるのかを解説していきます。
最初にも言いましたが近年上から叩くダウンスイングは間違いだという声が多くあり、上から叩くとは真逆のアッパースイングを推奨する指導が増えています。
その大きな要因となったのがフライボール革命です。
これはメジャーリーグで話題となったことですが、好打者の成績、データを見ると、フライを打つ選手の方が成績が良く、そしてその選手たちはアッパースイングであるということが分かったのです。
打球が飛ぶ打球角度やバットの入れ方、そういった細かいところまで見ていくとアッパースイングでフライを打つという意識を強く持った方が成績が良くなるということです。
これにより従来の上から叩く、バットを最短距離で出すスイングというのが否定されるようになり、ダウンスイングからアッパースイングを推奨する指導者が増えたというわけです。
私としては、ここまでの内容は間違いではないと思っています。
事実としてメジャーリーグで活躍する選手、特に長距離打者や重要な打撃指標であるOPSが高い選手はアッパースイングの選手が多いです。
それに打球角度や飛距離を出す場合、アッパースイングでボールの中心からやや下を打つことが最も飛距離を出す打ち方というのも研究によって分かっています。
ですので近年のアッパースイングを推奨する指導は間違いではないと私も思いますし、素晴らしいと思います。
ですがだからと言ってダウンスイングを全否定するのも違う気もしています。
アッパースイングにも、ダウンスイングにもそれぞれメリットがあり人によって合う合わないというのもあります。
ダウンスイングはアッパースイングとは違い、打球に角度が出にくく、トップスピンがかかりやすいので長打は確かに出にくいと思います。
ですが、ゴロを打つときに地を這うような鋭いゴロ、内野の間を抜けていくような打球を打つならダウンスイングの方が向いているとも言えます。
実際、イチロー選手もコースや球種によっては狙ってトップスピンをかけて内野の間を抜くヒットを打っているとのことです。
イチロー選手のように狙って回転をかけたり、球によって打ち分けるのは難しいでしょうが、自分に合っていないアッパースイングでフライアウトを量産するならダウンスイングでしっかりと内野の間を鋭く抜くヒットの方が良いと私はお思います。
他にはエンドランなどゴロを打ちたい場面などは絶対に上から叩くダウンスイングの方が良いですよね。
このようにアッパースイングにも上から叩くダウンスイングにもそれぞれメリットデメリットがあります。
大切なのはどちらを指導するにしても、それぞれのスイングの効果や意味などをしっかりと教えることです。
そのうえで自分に合ったスイングの形を見つけていくことがバッティング上達につながると思います。